おすの話

空手界には、時候の挨拶から、物事の賛否・可否と、使おうと思えば何にでも使える魔法の言葉、 『押忍』がある。

写真はMr,押忍こと和田先生。

 

フルコン系の方々が頻繁に使用しているので、世間的な認知度も高いのだが、元々は開学当初の拓殖大学体育会が発祥である。

おそらく拓大空手道部に1年在籍していた大山倍達氏がその世界観に惹かれ自流を拓いた際にオスを使用したと考えているが、当初の意味は実はたいしたことはなく、単におはようございますが転じただけと聞いたことがある。

それが『押忍』に転じ拓大空手道部の猛者達に伝統の様に受け継がれたのは、同大空手道部が勇名を馳せるようになってからのようだ。

 

『堪え難きを忍び、忍び難きを忍ぶ。押さば押せ、引かば押せ、これぞ自己滅却の精神也。我が道にいかに険しき山あれど踏みぞ越えん押忍の精神』

 

前半部は玉音放送、後部は相撲道の有名な一説と、つぎはぎだらけなのだが、端切れのいいリズムが生む力強さと、空手黎明期の勢いというか、土煙で耐えず埃っぽい関東平野で誕生したころの武士という自作農集団の素朴さと野卑な迫力に似たものを感じて何だか肚が座る気がする。

 

こういうのを自分たちの先達に持つというのは、端くれにいる自分でも何だか誇らしい。

 

こういうのは声に出すと非常に気持ちが良いので、お酒の席にでもどうだろうか。

 

ちなみに居酒屋でこれをやると、たまーに隣席から拍手が起きる。

 

心の中に実は眠ってる、坂東武者の気概みたいな物が感応してるんじゃないかと個人的には思ってる。